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株式会社吉村 様
  • 代表取締役社長 橋本久美子様
  • 経営企画部次長 池辺かおり様

社員を信じるということ。どの社員ひとりとっても、それぞれハートがあり知恵もあるんだっていう風に見る経営者の姿勢が大切だと私は思います。

橋本社長(左)と池辺次長(右)

橋本社長(左)と池辺次長(右)

株式会社吉村
http://www.yoshimura-pack.co.jp/
1932年、祝儀用品の加工販売業「吉村英一商店」として品川に創業。 1948年、紙製品包装資材・製袋分野に進出。お茶は紙の茶袋で販売されていたため「紙業」となったが、 1970年頃から紙袋がアルミパッケージに変わり、以降のお茶の流通にも大きな変化があると予測した先代社長が、 産地に近い静岡県焼津市に工場を建設、一大転機となった。現在競合は10社、うちメーカー機能を持っているのは2社、 メーカーでありながら既製品だけでなくオリジナル品の対応が50%以上を占め、オンリーワンの強みを持つ。 業界トップシェアを誇り、全国のお茶屋さんで同社を知らない人はまずいない。 現在、ワークライフバランスの実現に向けて全社で行っている取り組みが、大きな注目を集めている。

橋本久美子社長、池辺かおり経営企画部次長へのインタビュー

今年度もES調査を実施いただきましてありがとうございました。
早速ですが、前回の調査後に輸出が大変厳しい市況に変化致しましたがお茶業界に何か変化はございましたか。

(橋本社長)お茶業界は内需型なので大きな変化はありません。 単価が下がってはいますが量自体減っていません。お弁当と水筒というのがひとつトレンドで、水筒の中がお茶の可能性があるという感じは持っていますが、 お茶業界全体として景気がいいかというとそういう事ではなく、安いお茶ばかりが売れるというところですね。

そうすると一般的に製造業は生産量が大きく落ち込んでいる中で、お茶業界というのは割と安定しているのでしょうか。

(橋本社長)そうです。微減という感じだと思います。 弊社は、中に入っているものが(お茶が)高くても安くても袋の単価は同じですし、200g詰めから100g詰めへと移行すれば 袋が2枚になりますから仕事量は減ってないんです。小ロット対応の新しい機械を入れたというような背景もあって、結構去年は頑張りました。

新たに機械も導入されて順調そうですね。 さて、今年度もES調査を実施されて株式会社吉村様としてはこれで3回目になりますが、従業員の方たちのES調査に対する反応はいかがでしょうか。

(池辺次長)調査の結果を壁新聞に全部公開しています。 社内報にも書かせていただいて、結果を必ずフィードバックしています。(前回の調査では)中間管理職の部分が弱かったのでその部分に注力したら、 (今回の調査の)数字をみると上司への評価という部分が上がっていました。ここは社員の皆さんが見ていてくれた部分なので、良い形で表れていますね。 今回の調査では50代のところが低かったので、そこに注力していきたいという事を社内報に書きましたので、「ああ、きっと(今度は)こういう動きをするんだろうな」 みたいな事は浸透しているのではないかと思っています。

ES調査の結果は見るのが恐い場合もあって、経営者が調査を実施したがらない例もあるようなのですが、株式会社吉村様は結果をすべて社員に公開してフィードバックされている訳ですね。

(池辺次長)これまでいろんなアンケート調査の回答を、例えばデザインを聞いたりすることがありますが、聞いたら返すというのはもう社内的に文化みたいに出来ていて。 良い悪いは別にしても実態をきちんと返す。それが風通しの良い社風を作っているのではないかなと思っています。

(橋本社長)「何か聞いたからには、何かのアクションはしてくれるだろう」というムードが昔はありましたけど、 私が解決する人で社員は要求する人みたいな関係になってしまうと、いつまでたっても文句言いますよね。そこは常に「言ってくれてありがとう。 それであなたどうしたいの?」という風に社員の主体性を引き出していくみたいにしないと・・・。でもそれもつい最近分かったことですけどね。 社長になりたての頃には、言われたら自分が解決しなければ威信に関わると思って常に走りまわっていました。 気付かせてくれたのはインターワイヤードさんの最初の調査です。私が動いてるから中間管理職・組織で解決することが出来ない。 文句を言ったもの勝ちになって、中抜きされた中間管理職に対して不満が生まれるのだって事が分かりました。 だから、去年は中間管理職に「会議研修」というのを実施して、とにかくスキルを身につける事で自信をつけてもらおうと。

チアフル(株式会社CHEERFUL)さんですよね。

(橋本社長)はい。ダミーではなくて本当の議題で会議を回す研修なんですけど、 私それまで経営方針とか行動指針とか毎年いつも1人で決めていたんですね。これを2年後には皆で決めたいなと目標にしていたのですが、 どう取りかかっていいか分からなかった。ダミーじゃなくて本当の議題で、行動指針を決めるという議題で(会議研修を)やったら、 中間管理職の人達は「会社の方向を自分たちが決めたんだ」っていう風になるはず。意思決定のプロセスに参加することで、経営者発想も身につく。 これって一石二鳥じゃないかなって思いまして、初めて外部の人にお金を払って研修をするという事をやりました。

初めてそういう研修をなさった時、管理職の皆さんの反応はいかがでしたか。

(橋本社長)司会者と板書する人とタイムキーパーとか、ひとつ議題ごとに役割をどんどん回していくんです。 だから絶対に傍観者を作らない仕組み。最初のうちは「会議は会議で練習は練習でやってください」みたいに皆怒っちゃって大変だったんです。 1時間に10分必ず休憩なんですが、本当に酸欠みたいになるんですよね。集中して。意見の言い方も「今この時間10分」って言ったら意見を一気に出して。 傍観者をきめこむ時間がないので終わったら皆「ヘーヘー」ってなって。

(池辺次長)「1分間でしゃべってください」って言われて1分計られて、ピピピ♪「はい、終わり」って切られるので、 しゃべりたいのにしゃべれないような、そういうのでストレスが溜まって・・・。でも社長はひるまず「いや、これは私は続けます。研修だけど実践。 実践としてやるって決めたんだから、もうこれはやりきる」って。

(橋本社長)ダミーしかできなくて、本当の議題では出来ないのだったら、現場に持ち帰れる訳ないですよね。 そのハードルを越えられない研修なんて意味はないっていう感じで。

そうすると業務をぎゅっと集中してやって、休み時間も確保するっていうパターンが身についていく訳ですね。それじゃあ単純に会議の研修というよりは、 仕事の進め方そのものを変えていくって感じですね。それはひとつのワークライフバランスの為の施策といえるのではないですか。

(橋本社長)そう、そうなんです。スキルが上がらないのにワークライフバランスでノー残業デーって進めていったら、どうやって生き残りましょうって話になっちゃうんですよ。

そして厳しい研修内において経営上の会議を行われたのですよね。

(池辺次長)自分たちの会社の目標と、そこから掘り下げて、部門の目標、課の目標を自分たちで考えよう。で、合宿をやって。

(橋本社長)ここを決めるプロセスで関わっているという事は、中間管理職に私が説明する必要がないんですよね。 言葉としてはつたなくてもいいんです。もしうまくいかなかったなと思ったら、自分たちで「次はどうしたらいいのかなあ」っていう風に工夫や改善に繋げられるので。

(池辺次長)目標を決めるっていう時に、社員に「どういう会社になりたいですか」というアンケートを書いてもらったんです。 「こうしたい、こうしたい」っていっぱい出たんですね。それを見ながら中間管理職30人で考えたんです。だからそこに書いてある言葉には、社員一人ひとりの言葉も入ってるんだよ、という所まで繋げたくて。

なるほど。管理職の方たちはストレスを感じながらも研修を通してスキルアップに励まれたようですが、自分たちのスキルが上がったっていう実感は得られたのでしょうか。

(池辺次長)会社の会議で学んだ事を実践していってるんですよ。部署長さん達が自分の部署に戻って、 課のミーティングであるとか、そういうところで使おうとする意識はすごくあるなあっていうのを感じています。

(橋本社長)昔はおしりの時間決めて無かったですけど、今は議題ごとにきちんと決めているので、 押したにしてもバッファをちょっと取っておけば、まず終了時間がぶれるという事はないですね。すごくスキルが上がりました。

その結果、中間管理職の皆さんに対する社員の方の評価が上がってきた。そのことに関しては数値として表れてくる。

(橋本社長)そう。そこが大きい。無記名の社員のアンケートできちんと数値が上がったというところはすごく自信が持てたっていう感じで。

(池辺次長)「上長は部下から尊敬され信頼されている」っていう数値が上がったりとか、 「上長の言動は自分のやる気を高めている」っていうところが上がっているというのを実際に見ると、ここは社員が書いてくれているところですからやっぱり一番嬉しかったですね。

株式会社吉村様はES調査をご活用いただくにあたって、すごく社員の皆さんを巻き込んで進めていっておられますね。社員を巻き込むという視点が大切なのでしょうか。

(橋本社長)信じるという事じゃないですか。経営の事は末端の社員に口を出されたくないと思っている経営者の事を、社員が自分のことのように考える訳が無いですよね。判断というのは現場がするでしょ。 「ちょっと荷物遅いんだけど」とか、最初のクレームの電話は、新人さんとか接点になる社員がとるわけですよ。そこが経営者と同じ感覚であれば、お客様への対応もマニュアル以上のものになる。 社員を手足と考えるか、どの社員ひとりとっても、それぞれハートがあり知恵もあるんだっていう風に見るか、その経営者の姿勢だと私は思います。

社員のパワーとか知恵とか経験値とかを信じて預けるって事をしないで、自分の方が知ってる、分かってるって思っている限り、経営者の社員の声に耳を傾ける姿勢は違ってきます。 現場が一番知っているんですよ。それを俯瞰して見ているのが経営者である自分。現場に敬意を表さないとES調査って実は機能しないのかもしれません。

なるほど、そうですね。ありがとうございます。ところで、今回の調査では前回とまた違った課題が見えてきましたが、既に何か取り組みを考えておられるのでしょうか。

(橋本社長)低かったのは50代と管理部門でしたよね。管理部門は人数も少ないのでミーティングやって、人繰りの所から全部1月には変えるっていう形でやりました。 50代の満足度が低いというのは、今現在の話だけでなくて、今若い人達が50才になったとき、幸せに働き続けられないということにもつながると思うので深刻に受けとめました。実は今年はじめて取り組んだ希望者との社長面接で50代の社員から「50代が低いって社内報に載っていたけどグチグチしてないでもうひと花咲かせなあかん。やりますから。集まる場をください」っていうような話が出ました。もうひと花咲かせるためにこうしたいみたいな動きが、きっと5月以降に起るんだろうなと思っています。

では最後に、御社の中でES調査というのはどのような位置づけなのでしょうか。1年の活動に組み込まれているご様子ですよね。

(橋本社長)はい。年間スケジュールの中に入っています。ES調査の結果に対して、ここが弱いから何かをする、するときちんと1年後に数字としてそこが上がる。 「あ~なるほど~」という感じですごい実感があります。PDCAを回すのに、Checkにあたる機能として不可欠です。だからこれ1回やって安心して止めたらだめですよね。企業は生き物ですし、CSとESは両輪ですから。

なるほど。現状分析から始めて今は検証機能として活用して頂いているのですね。インタビューさせていただくといつも私たちの方が勉強になります。
本日は貴重な時間を割いてくださりありがとうございました。

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