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株式会社吉村 様
  • 代表取締役社長 橋本久美子様
  • 経営企画部次長 池辺かおり様

権限委譲が大きなテーマです。そこに問題解決の答があると思います。

橋本社長(左)と池辺次長(右)

橋本社長(左)と池辺次長(右)

いっぷくん

いっぷくん


株式会社吉村  http://www.yoshimura-pack.co.jp/
1932年、祝儀用品の加工販売業「吉村英一商店」として品川に創業。1948年、紙製品包装資材・製袋分野に進出。 お茶は紙の茶袋で販売されていたため「紙業」となったが、1970年頃から紙袋がアルミパッケージに変わり、 以降のお茶の流通にも大きな変化があると予測した先代社長が、産地に近い静岡県焼津市に工場を建設、一大転機となった。 現在競合は10社、うちメーカー機能を持っているのは2社、メーカーでありながら既製品だけでなく注文対応が50%以上を占め、オンリーワンの強みを持つ。 業界トップシェアを誇り、全国のお茶屋さんで同社を知らない人はまずいない。現在、ワークライフバランスの実現に向けて全社で行っている取り組みが、大きな注目を集めている。
橋本久美子社長、池辺かおり経営企画部次長へのインタビュー

お茶業界というのは、現在どのような状況なのですか。

(橋本社長)この5年で一世帯あたりの緑茶購入金額が10%以上落ち込む一方、茶系飲料の市場規模は1000億円、12%ほど上がっています。 かつて購買チャネルは専門店と量販店でほぼ拮抗していたのですが、現在は専門店が全体の30%、量販店65%、残りは通販というように、流通構造自体が変わってきました。 お茶がお客様との対話なくして売られることが多くなり、商品に対する補足説明ができません。 結果として緑茶の購入量は下げ止まってはいますが、低価格商品にシフトして全体の購入金額が落ち込んでいるという状況です。

そういう状況で御社がお茶業界で果たしている役目とはなんでしょう。

(橋本社長)対話がなくて売られることが多くなるということは、パッケージが持つメッセージ性がより強い意味をもってきます。ですから、パッケージのデザインにこだわりを表現するため、茶畑、新芽、湯呑などの写真は各数千点ずつ揃えてあります。また、全国に5か所の拠点を持ち、一つひとつのお茶屋さんの社長さんの考えや商品の品揃え、へたすると倉庫まで入って受発注のお手伝いまでするくらい密接な関係を築いていて、お茶屋さんのご希望に迅速に対応できるようにしています。既製品なら、午後3時までの注文に対しその日のうちに物流センターから出荷できる体制が整っていますしね。私たちは単なる包材屋ではなく、問題解決のパートナーでありたいと願っているのです。

素晴らしい体制ですね。もともとそういう仕組みがあったのですか、そもそも橋本社長と株式会社吉村の関わりにはどのような経緯があったのでしょうか。

(橋本社長)大学を卒業して家業である当社に入社しました。小さい頃から長女なんだから継ぐんだぞと言われていて、婿養子をもらって継ぐのかなと漠然と考えていました。24歳で結婚して、夫はサラリーマンのまま(笑)、結局出産を機に退職しました。そのあと夫の転勤に伴って大阪に住んでいましたけど、その間「茶事記」(お茶の情報誌)だけは契約社員として担当していました。夫の転勤が終わってこちらに戻ってまた働き始めました。戻る2年ほど前から社外取締役として会議には参加していましたけど・・・。3年前に社長に就任しました。

社員として、契約社員として、社外取締役として、社長として、いろいろな立場で会社を見てこられたのですね。

(橋本社長)結婚した時に吉村から橋本になりました。その時、勉強になったことがあります。電話を取って「吉村です」と名乗ると「あっお嬢さん」と優しい応対なのですが、「橋本です」と名乗ると「何してんだ、早く持ってこい」と怒鳴られるのです。社員はこんな目にあっている、経営者が見ているところと社員が見ているところにはすごいギャップがあるのだって、いい経験をしました。

社外取締役としての復帰から現在に至るわけですが。

(橋本社長)社外取締役として会議体を持つようになりました。その時、部署間の連携が悪いことをすごく感じました。情報を共有できたらもっと利益があげられるのに、と。
経営戦略会議という部署間の会議を作って、社員は誰でも起案出来るようにしました。最初はムクドリの糞の被害とか、そういうものがあがってきましたが、それをすぐに解決する。それで、どんなことでも言えば何とかしてくれるのじゃないかという雰囲気をまず作りました。そう、こんなこともありました。だいたい社内の意見というのは地位が高い人が勝ちます。「新茶の袋は赤い文字」というのが会社の伝統で、赤文字以外のデザインは却下されてしまう。それで、座談会(消費者実態調査)を行いそのデータを見せて、だから変えるべきだと。事実を持って初めて覆しました。

池辺さんもその頃は一緒に行動されたのですか。

(池辺次長)私は仙台で入社して、夫の転勤に伴い本社に異動しました。企画がやりたい一心で、企画がどういう仕事をするのかも知りませんでしたが、とにかくお茶のパッケージを作りたかったのです。当時企画担当は私一人で、カタログは全部外部デザイナーに丸投げでしたから、どうしても自分たちで作りたいと。でも周囲に理解されず、大阪の久美子さん(橋本社長)に電話で相談し、アドバイスと頑張れという励ましをもらって、また翌日から周囲に理解を求めて。

大変な思いを社長と共有していらっしゃったのですね。その延長上に今回の従業員満足度の調査があるのでしょうか。

(橋本社長)満足度調査の目的は、社員とベクトルを合わせたい、会社のことを好きになってほしい、会社に対して誇りをもってほしい、そして社員満足度も顧客満足度もあげたいということです。昨年に一度調査をしまして、そのデータをもとに新たな施策を実施しましたが、その施策が良い結果をもたらしたことが今回の調査でもわかりました。もちろん新たな課題も出てきましたが。

今回ご縁があって私どもの「ES-DIMS」をお使いいただいのですが、いかがでしたか。

(橋本社長)プロの調査だなと感じました。製造業の他社さんと比較ができるところが一番いいなと思いました。何に対して良いのか悪いのかという指標があるというところが大きかった。

(池辺次長)一般の製造業のデータ(弊社提供)と全部見比べてみたのです。すると、悪くないんです。会社の理念とか社長の方針とか、地道に毎朝朝礼で読んでいくのですが、叩き込まれています。外と比べるということが今までなかったので、ひとつひとつ読み込んでいくとなんかいいじゃないか、と。

ご不満な点があればぜひ教えていただきたいのですが。

(橋本社長)客観的でなければいけないのは十分承知していますが、こういう調査はどうしても不満の声が出やすいんじゃないかと感じます。ES調査を、ただ単にジャッジする道具ではなくて、いい方向にもっていけるツールとして設計できないのだろうかと思います。文句いって吐き出して気持ちいいで終わる自由記述になってしまうのでは発展しません。

なるほど。自由記述の設計の仕方は十分に検討の余地があることがわかりました。ありがとうございます。さて、今後はどのように会社を変革されていくのですか。

(橋本社長)これまで、風通しを良くする為に社員から直接情報を得るように仕組みを作ってきました。でも、今は私が憲法になってしまいつつあると感じています。ですから、権限委譲が大きなテーマです。現場から吸い上げても、逆に落ちていかなくなっています。中間の管理職がちゃんと機能しなければ何事も浸透させることはできません。責任と権限はセットですね。どうやってうまく委譲していけるか、そこに問題解決の答があると思います。

(池辺次長)私は中間管理職のベクトルを合わせるということに注力していきたいです。私自身中間管理職で、社長から経営企画部を譲り受けて、仲間として意識を変えていきたい。先日、管理職にES調査の結果を発表しました。私たちが本気になってやっていかないと部下はついてこない、そういう厳しい意見も今までは聞こえてこなかった。これだけの意見があるのだから、まずは自分たちの意識を変えて、自分たちから変わろうよ、と。そういうところで、積極的に今回の調査結果を使っていきたいです。

最後に、橋本社長の今後の事業に対する思いをお願いします。

(橋本社長)日本茶がなくなっていけば、私たちの会社もなくなってしまう。本気で日本茶リーフの需要創造をしたいと思っています。外の情報をキャッチして次の事業ドメインを考えるのが自分のテーマですが、私は、すごく日本茶に惚れているんです。健康に良くて、おいしくて、副作用もなくて、心もほっとして。こんないいものはないと思っているのに、その市場が小さくなっていっている。ここまで食べさせて頂いたんだから恩返ししなきゃいけない。緑茶リーフ市場のパイを広げるお手伝いをすることが、マジに夢なんです。

橋本社長と池辺次長の熱い思いが私たちにも伝わってきました。素敵なお話をありがとうございました。私たちもお二人に負けないよう、よりよいサービスが提供できるよう研鑽してまいります。

本日はお忙しい時間を割いていただきありがとうございました。

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